甲子園歴史館ブログ

ご自宅が甲子園に!?

2007.07.10 Tuesday
 こんにちは、永井です。タイガースは、上位2球団との連戦が続き、週末からは甲子園球場での6連戦と正念場を迎えます。天気が心配ですが、上位を叩き、一気に浮上を狙いたいところです。

 さて今回は、今日のスポーツ新聞をはじめとした朝刊にも掲載いただきました「シートオークション」のことに触れたいと思います。
 アメリカのスタジアムでは、頻繁におこなわれているこのシートオークションですが、決定までかなり紆余曲折しました。
 最大の問題は、販売数でした。少しでも数多くの座席を後世に残したいですし、多く販売できれば、価格の高騰も避けられると考えていたのですが、当初の予定数よりは、かなり減ってしまいました。というのも、甲子園球場のリニューアルは、工期がオフシーズンに限られていて、非常に過密な工事スケジュールであることから、製品として取り外せる数が、かなり制限されてしまったのです。本来ならば、大型重機などで一度に取り壊してしまう座席部分を製品用として1セットずつ脚下から取り外すのですから、なかなか手間と時間が掛かる作業でして、ギリギリ調整した結果、最終的に20セット(40席)となりました。

 シートの色・タイプは、お好きなタイプを選んで入札していただけますが、特に来シーズンから長年親しまれたイエローシート、オレンジシートは、ツタ色をイメージしたアイビーシートと替わるので価値があるかもしれません。
 このシートオークションの収益金ですが、売り上げは、昭和初期に造られて球場の貴賓室を飾ったシャンデリアをはじめ、球場の歴史を刻んだ品々の保存費用に役立てます。

 貴賓室(上下写真)は、昭和4年に造られ、昭和12年の改築を経て、ほぼ現在と同じ内装となりました。主に皇族の方々の観戦時や高校野球期間中の主催者・来賓用の部屋として利用しています。戦後、球場が、アメリカ軍に接収された際は、軍司令部の宿舎としても利用された歴史もあります。大正時代のモダニズムが醸し出す雰囲気と昭和初期製の家具調度品は、熱狂するスタンドの内側とは思えぬ「静」の空間です。この部屋をはじめ、80年余年の歴史を刻んだ甲子園球場の一部を保存する費用に充てさせていただきます。

 最近は、映画館のシートを自宅に設置し、ホームシアターを楽しむ方もいらっしゃるらしいのですが、是非、ご自宅に甲子園球場のシートを設置し、球場にいる気分で野球観戦をお楽しみ下さい!
auther : 歴史館担当者 | - |